2020年3月28日(土)午前10時より樽出し体験会を開催しました。当日は熊の涙を愛して下さるお客様や、氷中貯蔵酒を提供して下さる飲食店や宿の方々、氷点下の森を守る会のメンバー他、30名ほどの参加者でした。
毎年氷漬けになっている氷中樽を掘り起こす作業を樽出し体験会の前に行っておりましたが、今年は記録的暖冬で、氷中樽付近の氷もちょうどよく溶けてくれて事前準備に関しては非常に順調に進みました。
さて気になるところは、この記録的な暖冬で熟成がどのように進んだのか。氷中酒の味がどのように変化したのか。不安と期待でドキドキしながら樽出し体験会を開始しました。
本日もあいにく雨になりましたが、本当に今年のお酒造りは異常気象に見舞われて、大変な思いをしてお酒造りをしました。
まずはお酒の原料となるお米なんですが、去年は7月に豪雨がありまして、その後に猛暑、9月に入りますと刈り入れ時なのに台風がやってきて、非常にお米の出来きが心配でした。ですが、それは生産農家さんが守り抜いてくれまして、いいお米に出来上がっておりました。
お酒造りの時期も12月から暖冬でして、雪もなかなか降りませんでした。雪が降らないということは蔵の上に布団がないような状態です。昼間の強い日差しも雪があるおかげで反射してくれるのですが、その日差しも入ってきてしまいますし、夜の冷え込み、これもバリアの役割をしてくれる雪がないと、どんどん蔵が冷え込んでしまいまして、室温が目まぐるしく変わりました。その中で、蔵人たちが一生懸命、明日の天候を読みながら、温度管理をしてくれたおかげで、出来上がったお酒は非常に綺麗なお酒になっておりました。
あとは、この氷点下の森の中で、どのように味が変化したか。ちょっと気温が高くて心配した部分もありましたけど、もうすぐ4月を迎えようとするこの時期に、暖冬ではあったにも関わらずこれだけの氷がある氷点下の森、そしてバリア機能を果たした樽を覆う氷があります。恐らく、この自然の力、人の力素晴らしいもので、皆様がいいお酒だと感じくれるはずです。
毎年、大変な思いをしてこの氷点下の森をつくっているわけですが、私は亡き父「氷の王様」の死後、父の遺志を引き継いて「氷の守人」として氷の森を作っております。
そして氷中酒、このタンクは氷点下も森に堂々とありまして、氷に負けないほどの存在感を放っています。
この冬、ご来場のお客様に説明してきたのですが、熊の涙をタンクに入れる際に「美味しくな~れ」とおまじないをしました。私、お祓い(神主)もしておりますので、その思いが森の神を通じてお酒にの味に良い影響を与えてくれたらと思っています。
今日この日を無事に迎えることに感謝し、また全国のお客様がこのお酒を通じて一人でも幸せな気持ちになれるよう、皆様でこの氷中酒の旅立ちを祝いましょう!
平瀬社長の言葉 今年のお酒の総評
「色はやや黄色みがかった、クリスタルのような非常にきれいな色をしています。できたての若い状態のお酒です。香りはバニラのような甘い香りがします。この香りは樽に入れる時にもしていたものです。味というのが出来立てお酒というのは、少しとげとげしいというかシャープな感じだったんですが、味見をしてみたところ、非常にクリーミーなまろやかな味になっております。本当に自然の恵みに感謝したいなと思います。」
氷中貯蔵酒は今回のお酒で10歳、つまり10周年という一つの節目を迎えました。
今後もこのお酒を通して、地元朝日町に根付いた特産品にするだけでなく、飛騨高山の冬の風物詩ともいわれる「氷点下の森」の自然と融合した珍しい商品として高山市に誇れる商品となっていけるよう努めて参ります。
平成29年度版「氷中貯蔵 熊の涙」樽入れイベント
主催者もびっくり、ミス日本酒2017ファイナリスト岐阜県代表の原田さんがご来場!思い切って、開式セレモニーのたいまつ点灯をお願いしたところ快く引き受けてくださいました。ありがとうございました!
さて、今年の氷中酒の味はいかに?販売店として緊張の瞬間でもあり、喜びの瞬間でもあります。本日樽入れした熊の涙の味は、アベリアのフルーティな香りが際立ち、近年の中でも一番フレッシュさを感じる味でした。出来立てほやほやの新酒ということもありますが、ガツンとくる独特な日本酒のイメージはなく、スゥーと喉に染み込むような感触。また一歩飲みやすさがUPし、蔵元平瀬酒造様のレベルの高さを感じさせます。この味がさらにどう変化するのか!?